最近「怒り満載」((c)vaさん)なブログですが、気分を害する人がいたらごめんなさい。普段そんなに怒らないのですが、そのかわり売られた喧嘩は高く買う人なので(笑)
それと、別に他チームのサポさんをけなしているわけでも排除しているわけでもないです。ただ、道に外れたことは嫌だと思ってるだけです。
さて、本題。
これまでも、フットボールにおける人種差別問題については何度か触れてきましたし、勿論私の姿勢はこれに大反対するものであります。
けど、今回の件でちょっと考えたことがあります。
「人種差別」とほかのものを混同しちゃいかん。隠れ蓑にしちゃいかん、と。
私、江藤という選手については正直よく知りませんでした。確かに去年のCLでしてやられた時の喜び方はむかつく記憶として残っていますが、別にだからといって反感を持ったわけじゃないです。
ドログバと同じアフリカ出身で(ドログバはフランスにいた時期のほうが長いですが)、ランパードと同じFIFA最優秀選手に選ばれたトップランクのストライカーの1人だという認識はありました。
週末にまた、その江藤がサラゴサ戦(アウェー)で
人種差別的罵声を浴びて、ピッチから去ろうとし、監督や選手の説得でなんとか踏みとどまったそうです。
サラゴサの選手にも白人以外は(すごく少ないけど)いるみたいですし、それでいて、黒人だからとモンキーチャントを浴びせる神経は私にはよく分かりません。常に「これがドログバだったらどうだろう? これがギャラスだったら?」と考えてしまうからです。もちろん、「自分の応援しているチームに有色人種がいるから、敵チームに対して人種差別はしない」という論理は基本的に大きく間違っているけれど、理解はしてもらえると思います。プレミアでアンリを含め選手が大々的に「人種差別をなくそうキャンペーン」を張ったのは、スーパーヒーローであるフットボール選手の言うことに未来を担う子供たちは影響を受けやすいから。人間そういうものです。
ですが。
つばを吐きかけるというのは、木から降りてきたばかりの人間しかしない行為だと思っていた
(アスレティック・ビルバオ監督、ハビエル・クレメンテ)
ピッチの上だろうが外だろうが、他人に対してつばを吐きかけるというのは人間のやることじゃないですし、敵チームの監督をクソ呼ばわりするような輩を人間として尊敬できるでしょうかね。
勿論、サラゴサのファンは奴を憎らしいと思って人種差別チャントを浴びせたのでしょうが、人種差別以外の部分は爪の先ほどもなかったんでしょうか?
ファンは、世間が忘れても覚えていますよ。これまでその選手がピッチの内外でどんなことをしでかしてきたのかということをね。
肌の色も髪の色も瞳の色も、関係ないですよ。
私たちが人間として尊敬できるか、認められるかというのはひとえに、その人の行いにかかっているはずです。
ですから、肌の色が白かろうが黒かろうが黄色だろうが、恥ずべき行いは恥ずべき行いです。それに対して嫌悪感を示し、「それは間違っている」と声を上げることは正当な行動であると思います。
それを、黒人の選手を批判し罵倒チャントを浴びせたからといってそれがすべて人種差別に由来していると見なし、十把一絡げに「レイシストだ、忌むべきことだ」と糾弾するのはどうなんでしょうかね。
罵倒チャントを浴びせられた時、「これは受けるべき中傷ではない。私はそんなことをされるような恥ずべき行いはしていない」と、100%胸を張って言えますか?
人種差別に立ち向かっている選手というと、プレミアで一番有名なのはなんと言ってもティエリ・アンリでしょう。彼は確かに敵サポーターにとって小憎たらしい存在ではありますが、近年プレミア内で彼や黒人選手に対する人種差別的チャントが問題になったのを聞いたことはありません(まったくないとは言えないでしょうが、スペインほどひどい状況にはありません)。
なぜなのか。
私はロンドンに住んでいるので、地方のことは分かりませんが、明らかにスペインなどよりロンドンは多人種がミックスした街であり、黒人だから何人だからという意識は希薄だというのがひとつ。
そして何より、アンリは確かに憎たらしいですが、彼のフットボールに対する態度には文句のつけようがないからです。付け入る隙がないからです。
しかし、もしアンリが人に対して唾を吐きかけたり、相手チームに対する敬意を欠いた行動をとったら、批判されて当然でしょう。
それはあくまで人種とは関係ないことです。
なのに、差別と混同されてしまうとしたら、間違ったことだと思います。
この間のバルサン戦で江藤に対する人種差別があったという間違った記述を見かけました。
私はその場にいましたが、耳の届く限りでは聞いていません。「You’re s**t」などのお決まりのチャントはありましたが、選手個人を名指しにして悪口を浴びせるということはありませんでした。
知られていないかもしれませんが、スタンフォード・ブリッジのスタンドの上には「Chelsea against racism」という横断幕が掲げられています。
例のアラゴネス爺がアンリに対して「negro」と言って大問題になった時、スペインFAは「負けた腹いせに問題点をすりかえた英国メディアの大袈裟なアピールであり、事実無根。スペインには人種差別はない」と見え透いた嘘をもって反論しました。
差別は、あります。厳然としてあります。あなたの国にも私の国にも。
それを認めること。認めなければ減ることはありません。それが第一ですが、一方でほかのものと混同しないで欲しいのです。
去年リバプールに
Form is Temporary … Class is Permanent.
と批判されましたが、これを当該人物にそのまま捧げたいです。
当該人物へ。私たちがあなたにclass(品格)があると認める日は来るのでしょうか?
※非常にセンシティブな話題だけに、ご批判を承知で書きました。私はアフリカの最貧国債務帳消し運動に多少関わったことがありますし、差別問題には人並み以上の関心を持っています。ただ、「有色人種への批判 イコール 差別」という短絡思考にはどうにも我慢がならなかったので、一石を投じる意味であえて書かせて頂きました。
私は、何人であろうともチェルシーの選手はすべて応援しています。だって私自身、ガイジンで有色人種なのですから。